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今月の特集記事 < 武士道の継承者 > 
ロビー ケスラー氏

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ほとんどの日本人がその言葉さえも忘れてしまった『武士道』。
地球の反対側、オーストラリアのケアンズで合気道を修行しながらその普及活動を長年続けるロビー ケスラー氏。
何ゆえ、日本の武道に興味を持ち、研鑽を続けるのか。
その生き方は、今の日本人があまり持ち合わせていない『武士道』と底流を同じくする精神修行が原動力となっているような気がする。
スイス系オーストラリア人、ロビー ケスラー氏の生き様を探りながら、現代日本人の生き方を再確認すべく、メッセージを送りたい。
精神を統一し、気の力を高める
“いち、にー、さん、しー”と少し癖のある発音が道場に響く。
『心身統一 合気道 ケアンズ道場』をしきる、ロビーは今日も元気に、生徒と準備体操を始めた。
ロビーの本職は電気工事士だ。
彼はケアンズから車で北へ1時間20分ほどのモスマンという町に住んでいる。
そこから一週間に3回ケアンズの道場へ出向き、合気道を教えている。
つまり往復3時間かけ、ガソリンを使い、モスマンで仕事を終えてから、ケアンズまで来て合気道を教えているのである。
ケアンズ道場での練習以外にも、自宅の道場で週に2回教えているそうだ。

日本でも、合気道は比較的マイナーなスポーツだ。
ましてやオーストラリアでは、空手や柔道に比べ衆目を集めるスポーツではない。
加えて、入門した生徒が比較的短期間に辞めてしまうことが多いと、ロビーは言う。
空手やテコンドーに比べ、派手なぶつかり合いもなく、試合をしないことが合気道人気を低迷させている要因だと彼は分析する。

門外漢の僕にはなぜ試合がないのか疑問に思い尋ねると、理由は合気道がスポーツではなくマーシャルアーツ(武道)であるためだと彼は説明してくれた。
スポーツは勝ち負けがあるが、試合のない、つまり勝ち負けのない合気道はマーシャルアーツであり、スポーツのカテゴリーには入らないと彼は力説する。
根幹にある、合気道あるいは武道精神は、残念ながら僕には完全に理解できなかった。
ただ、彼の精神修行に向けての情熱と、日本文化(古き良き時代の)に対する憧憬の部分に少し感動しながら、その論理を深く追求する作業を後送りにしようと決めたものだ。
豪快な投げ技
剣技も合気道には重要
弟子も真剣なまなざ

昇段試験も大事な行事
取材をしながら、今月の特集記事は読者への問題提起以前に、実は自分自身の内面に向け警鐘を鳴らす作業だったような気もしている。
僕自身、精神修行を人生の重要な部分に置くような考え方はあまり好きではない。
その昔、トラック環礁の沈船ダイブをした時に感じたことがある。
『興国丸』や『神国丸』など、その時代を象徴する名の沈船に潜りながら、多くの若者を海の藻屑とした、その時代の論理と価値観に少なからず嫌悪の念を感じたものだ。
国策として、日本人の精神土壌を軍国主義の方向へ操った国の指導者。
神=天皇と崇め、充実した精神さえあれば、全ての道がまっとうできるなどと教えられ、わが身を捧げた多くの国民。
それらをうまく操りながら、国策という大儀の影で私服を肥やした財閥。
悲しい時代だった、悲しい時代だったからこそ、純粋な若者の突出した情熱が流星のように一瞬、光り輝いたのかも知れない。
準備体操にも熱が入る
挨拶は合気道の重要なパート ※写真をクリックすると大きくなります※
ところが敗戦と同時に、パンとチューインガムに代表される物資に翻弄され、アメリカの占領政策を120パーセント受け入れ、今日に至るまでアメリカの隷属国として、世界から嘲笑されるわが祖国。

『武士道』はどこに行ってしまったのか。
“生れた土地は荒れ放題、今の世の中、右も左も真っ暗闇じゃござんせんか”と歌った鶴田浩二の演歌。
それは時空間を超え今の時代にぴったりと来る響きを持っている。

しかし、僕自身が海外に向け漂流を始めたのは、その辺が主な原因だったからではないと明言したい。
ただ、何でも自分の目で見たいという『野次馬根性』と広い土地が好きだっただけである。
北海道に生まれ育ち、満州浪人という言葉に憧れ、小さい頃から南米移住を目論んできた流れの上である。
怠け者の自分は、日本の競争社会から脱落し、日本を棄民同様に追われ、あるいは追われたと思ったからに過ぎない。
道場は工業団地の一角にある
練習が終わり、リラックスする
日本から先生が来て、セミナーもある
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